この絵の作者の高間惣七は帝展（現日展）で６年連続特選受賞の記録を持ち、1928年には同展審査員になっています。1973年には勲三等瑞宝章も受章しています。高間惣七の作品は東京国立近代美術館にも収蔵されています。 こちらの絵は、製作年が書かれていませんが、画集に同じような日の出の絵があること、またそれより作風が素朴なことから1946年以前の作ではと思います（最後の写真参照下さい）。 少し離れて全体を視野に入れたときのグラデーションには、相当心を打たれるものがあります。日の出の赤い光が周囲の空気に乱反射する様子が極めて情熱的に迫真的に描かれて圧倒されますし、力があります。 今、高い値段がついている絵画はブルジョア的な分厚い高級感、豊かさを強く表現できている作家が多いです。高級ブランドのデザインのようなものです。高間惣七は、以前はとても値段が高かったのですが、分厚い高級感があるというわけではなく時代に合わないのか値段が下がってしまいました。しかし、本当に分厚い高級感だけが価値があるのかというと、真面目さや素朴さといった、今の時代にない良さは、例えば骨董の世界では評価されており、感性が合えば狙い目であり、新しい感性を養ってくれるものと思います。 古い紙質ボードにキャンバスが貼られた上に描かれ、額にガラスも入っていませんが保存状態は全体的には良いと思います。左側にわずかに剥落が見られますが、言われないとなかなか分かりません。 宜しくお願い致します。